2025.03.17
横浜まち情報
パリの名店直伝!9種のマカロンが彩る洋菓子店「パティスリー シェ・イル」

東京ガス横浜中央エネルギー(ヨコエネ)は、横浜市内の8つの行政区(西区・神奈川区・港北区・都筑区・青葉区・旭区・瀬谷区・鶴見区)にて、東京ガスのサービス窓口を担当しております。そこで、日々地域のお客さま先で働く私たちだからこそ知っている、地元のお店情報をご紹介します。
発祥店のレシピをベースに作られた、こだわりのマカロン
相鉄線三ツ境駅から徒歩4分。オレンジ屋根が目印の「パティスリー シェ・イル」は、かわいらしい街の洋菓子店です。ショーケースには色とりどりのケーキが並び、なかでも目にも鮮やかなマカロンが、一段とお客さまを引きつけています。

「あー、楽しみだなー」。お店に入ると、親子連れのお客さまの会話が聞こえてきました。筆者が訪れたのは1月下旬。どうやら自宅用のケーキとバレンタインギフトを買いに来られたようです。選んだ品物が包まれている間、そわそわとうれしそうにされている様子を横目に、「どのケーキを買って帰ろうか」とショーケースを眺めていると、「こんな小さなお店に、わざわざ来ていただいて……」と温和な男性が出迎えてくれました。オーナーパティシエの島秀孝さんです。「よろしければこちらで」と厨房に入らせていただくと、ちょうどマカロンを作っているところでした。

お店のマカロンは、地元で愛され親しまれている名品として、2020年に「瀬谷の逸品」に認定された看板商品です。フランスで修行経験のある島さんが、マカロン発祥の店「ラデュレ」で学んだレシピをベースに作られています。オープン当初は3種類ほどのラインアップでしたが、今では常時9種類を販売。食べ比べるため、全種類を1つずつ買って行くお客さまも多いそうです。
フランス修行時代の技術を詰め込んだ看板メニュー
看板商品のマカロンは、「バニラ・ショコラ・いちごミルク、ロイヤルミルクティー」の定番4種類のほか、季節限定のフレーバーを提供しています。取材当日は「ピスタチオ・塩キャラメル・マロン・焼いも・ゆず」の5種類が並んでいました。

なかでも人気なのが、「いちごミルク」と「ロイヤルミルクティー」です。「ロイヤルミルクティー」は、ポップなパステルブルーの色味がかわいらしく、つい手に取りたくなります。
「マカロンって材料だけ見ると、全部同じような色ばかりになってしまうんですよ。ちょっと変えた方がいいかなと思ったときに、ちょうど青色のスイーツが流行っていて。試しに作ってみたら好評でした(笑)」
季節限定の「ゆず」をいただくと、予想を裏切るもちっとした食感にびっくり。生地もクリームも甘すぎず、ゆずの香りも相まって爽やかな味わいです。さっぱりとした後味に、つい2個目に手を伸ばしたくなるほどでした。

もう一つの看板商品は、フランス修行時代の技術を詰め込んだ、「ガトー シェ・イル」です。ベルギー産ミルクチョコのムース・フランボワーズのジュレ・マカロンなどで作られており、つやつやとした光沢が美しく、フォークを入れるのがもったいなく感じてしまいます。濃厚なチョコレートムースに酸味のあるジュレとマカロンがアクセントになっており、ちょっと大人なムースケーキでした。
一般大学卒業後、パティシエの道へ
島さんは、幼い頃によくお母さまと一緒にクッキーを作っていたことから、物心ついた頃には「料理の道に進みたい」と考えていました。しかし、「大学は卒業しておいた方がいいんじゃないか?」という周囲の声を受け、料理とはまったく関係のない学部へと進学。偶然にも、知人がホテルのシェフとして働いていることを知り、同じ厨房でアルバイトさせてもらったことで、改めて自分の本心に気づいたと言います。
「料理の下準備や簡単な調理など、色々な作業を経験させてもらったんですが、ケーキ作りの手伝いをさせてもらえることがあって。パティシエの技術は、素人からすると『すごいな』と感じることばかりで、どんどんこの仕事に魅力を感じるようになっていきました」
大学卒業後は、「神戸ベイシェラトンホテル」に入社。専門学校出身の同期社員が多いなか、一般大学卒という異色の経歴でのスタートでした。最初の1年間は計量ミスや作り方の間違いなど、毎日のように叱られていたそうですが、経験を重ねるにつれてケーキやパン作りを担当するようになりました。

あるとき、同僚とフランスを旅していた島さんは、マカロン発祥の店「ラデュレ」を訪れた際、本場の味に驚がくすることになります。
「当時、日本でマカロンを扱っているお店は少なくて、食べてもあまりおいしいとは思えませんでした。けど、『ラデュレ』のマカロンを一口食べた瞬間、『なんてうまいんや……!これが本物のマカロンか!』と、ものすごい衝撃を受けて。加えて、フランスはスイーツだけじゃなく、クロワッサンをはじめとしたパンもすごくおいしかった。『どうやったらこんな味になるんだろう』という思いがつのり、次第にフランスで修行してみたいと考えるようになりました」
ホテルで6年半にわたって経験を積んだ後、ワーキングホリデーを利用して、フランス修行へと出発。まずはパンの作り方を学ぶべく、ブーランジェリーで仕事を始めました。その半年後には、念願叶って「ラデュレ」でケーキ作りに携わることに。けれど、肝心のマカロンは別店舗で作られていたため、実際に作り方を見て学ぶことはできませんでした。
「フランスの伝統的なスイーツを作るのは面白く、見るものすべてに毎日感動していました。でも、僕はどうしてもマカロンの作り方を知りたかったんです」
迎えた「ラデュレ」での最終日、島さんはマカロンの作り方を知るスタッフに声を掛け、「作り方を教えて欲しい」と頼み込みました。すると、意外にもあっさりと承諾が下り、レシピや工程を教えてもらうことに。早速次の日からマカロンの試作を始めましたが、これがそう簡単にはうまくいきませんでした。
「一度教えてもらうだけでは、100%の理解はできていなかったんですよね。日本に帰ってからも試作を続けましたが、成功と失敗を繰り返していました。正直なところ、自分のマカロンに自信を持てるようになったのは、開業5年目ぐらいのことです」

帰国後しばらくしてから、「横浜ベイシェラトンホテル」でスイーツ部門の副料理長に就任。社内コンテストでグランプリを受賞したのを機に独立を考え始め、2014年6月に「パティスリー シェ・イル」をオープンしました。
「開業当初は試行錯誤(しこうさくご)の連続で、お客さまには何度となくご迷惑をおかけしてきました。でも、『この前食べたケーキ、おいしかったよ』とか『友人から手土産でもらって、おいしかったから買いに来ました』など、温かい言葉をかけていただいて。その度に、うれしい気持ちでいっぱいになります」
そう言って、島さんは笑顔を見せました。
イチゴ・レモン・さくら…年に一度の春スイーツをお見逃しなく
3〜4月頃は、春を感じる季節限定商品が目白押しです。「あまおう」をはじめとしたイチゴのロールケーキやレアチーズタルト。レモン果汁入りの特製クリームを使用した「瀬戸内レモンのクリームタルト」は、春から初夏にぴったりのケーキです。お店イチ押しのマカロンは、同じ「瀬戸内レモン」や「さくら」などのフレーバーも登場しています。

フランスの名店「ラデュレ」直伝の本格マカロンが味わえる、「パティスリー シェ・イル」。上品で味わい深く、見た目も華やかなスイーツは、ギフトにもおすすめです。この春は、ぜひ色とりどりのマカロンを食べ比べてみませんか?
注)当記事でご紹介した商品の価格・サービスは、2025年1月時点のものです。「パティスリー シェ・イル」さんにインタビューを行い、いただいたコメントを編集して掲載しています。
【店舗情報】

住所
横浜市瀬谷区三ツ境110-25 ピアヌーラ三ツ境101
営業時間
10:30~19:00
定休日
不定休
(ホームページに掲載されている、当月・来月の営業カレンダーをご確認ください)
電話番号
045-461-9876
SNS
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取材・執筆・撮影/弓橋 紗耶